流体解析では、「定常状態」とは時間無限大の時刻のことで、そのときには前の時間と現在の時間との差がない状態です。一方、
「非定常状態」とは、過渡状態ともよばれ、時々刻々状態が変化している最中をいいます。物体が移動している場合などは
非定常状態です。
このことから定常状態では上記式の左辺第1項はゼロになります。したがってPHOENICSの定常計算ではこの項
をあらかじめ除いて計算します。この操作は通常計算が不安定になるので、多くの計算コードでは採用せず、時間
幅を徐々に大きくしていくなどして計算を行います。しかしこの場合、問題によっては(特に2相流など極端に状
態が変化する物理問題)より多くの計算時間がかかってしまうことがあります。 PHOENICSでは、計算の不安定性を補うために擬似タイムステップ法とよばれる緩和手法を採用しています。
これは質量流束の大きさにしたがって緩和の度合いを変化させていくものです。
|